待機児童問題のやりとり(衆院予算委員会2017年2月17日)
待機児童問題のやりとり(衆院予算委員会2017年2月17日)
山尾議員と安倍首相、塩崎大臣の待機児童問題に関するやり取り
山尾議員と安倍首相、塩崎大臣の待機児童問題に関するやり取り
山尾議員
待機児童問題が解決していない。直近2年、待機児童数は増え続けている。2015年4月1日時点で2万3167人、2016年は2万3553人。今年も大幅に減ることはないだろう。いつまでにゼロにするのか。
安倍首相
まさに我々は、待機児童ゼロを目指して強力に施策を推進している。保育の受け皿を「増やす」と言うのは簡単だが、大切なのは財源を得て実行すること。
我々は民主党政権時代よりも2.5倍のペースで保育の受け皿を整備している。保育士の処遇も、民進党政権時代はマイナス1.2%、改善どころか下がっていたわけですが、安倍政権では10%引き上げる。キャリアを積んだ方には4万円プラスになる。
野次
「それは人事院勧告だろう」
安倍首相
「処遇改善は人事院勧告によるもの」とのご指摘ありましたが、人事院勧告は経済状況に対応して出されるもの。経済状況に責任を持っているのも政権です。
安倍政権以降、働く女性の皆さんが増えた。ニーズも増えて、受け皿も増えたが、残念ながら待機児童はゼロになっていないのが事実。
山尾議員
いつまでにゼロを目指しているのか?
安倍首相
いつまでにということを断言するのは難しい。なぜならさらにニーズが増えていくこともあり得るから。私達の政策によって、保育所を諦めていた人の申請者が増える可能性もある。
民主党政権時代にも待機児童ゼロを目指していたんじゃないですか?我々はしっかり責任を噛み締めながら発言をしている。
山尾議員
2013年に日本記者クラブでの会見でも待機児童をゼロにするとしっかりと明言した。今それを撤回されるのか?
安倍首相
(待機児童解消加速化プランで)最初は40万人の受け皿確保を目指し、ゼロにするという予測を立てた。
実態としては、女性の活躍政策を進めることで、働く方は90万人以上労働市場に参加しており、さらに増えていく。なかなか予測通りゼロにならないという実態。
山尾議員
それは分かっていたこと。2013年に、総理は何年までに待機児童ゼロを目指すと言ったのですか?
安倍首相
(事務方に聞こうとして咎められ、委員長が塩崎大臣を指名する)
山尾議員
なぜ塩崎大臣なのですか?総理はわからないんですか?
安倍首相
念のためにお伝えしますが、予算委員会では委員長が指名するんです。過去のことですから確認する必要があります。
皆さんタウンミーティングじゃないんですから、どんどん私に問いかけをしないでください。(笑)
2017年です。
山尾議員
笑うところじゃないんです。真剣なんですよ。今事務方から聞いて初めて2017年という答えが出ました。
2017年度までに待機児童ゼロを目指すと。去年の国会でも「待機児童ゼロ」と胸を張っておっしゃっていたなら、常に頭にあるはず。
安倍首相
(野次として)何言ってるの?
山尾議員
期限については撤回する、無くすということですか?
安倍首相
民主党政権時代のことを私が持ち出したのは、批判ばかりでは進まないということを言いたかったから。皆さんの時に進まなかったということは事実。
そういうことを噛み締めながら発言されるべき。確かに、2017年度末(2018年3月)に待機児童ゼロは非常に厳しい状況になっているのは事実。
だからといって、待機児童ゼロという目標を取り下げるわけではない。頑張って改善していかなくてはいけない。一方的に興奮して我々をなじっておられるから、我々もいかがなものかと思って見ていたわけです。
安倍首相
大切なことは経済を良くしていく。財源を確実にしながら結果を出していくこと。申請者が増え、出生率も上がった。
女性が働き始めるということが、我々の予想以上になったのは事実。ある意味、私達の政策の効果が効いて、経済回復度合いも予想以上だった。労働市場が改善されたということ。
予想段階では全国47都道府県で、有効求人倍率が1倍以上になるとは予測していなかった。
早い段階で経済回復した。そういう意味で予測は外れた。その点については十分に経済の改善速度に追いついていなかったのは残念だが、目標に向かって進んでいく。
山尾議員
民進党の緊急提言「待機児童を全国統一の基準で実態把握する」について
塩崎大臣
2016年9月から厚生労働省で待機児童数の調査検討会を行っている。「統一すべき」ということだが、民主党政権でもこの状態できた。
「隠れ待機児童」と言うが別に隠しているわけではない。
自治体独自の保育施設(東京都の認証保育園など)を利用している方々、特定の保育園だけを希望されている方々、求職活動中・育休中の方々、について市区町村ごとに待機児童に含めるかどうかでバラつきがあることはご案内の通り。
これによって、統一が難しいとずっと言われてきた。
塩崎大臣
検討会では、「市区町村ごとに不合理なばらつきがあるのではないか」という指摘を受けて、それぞれどういうバラつきがあるのかを見直す。定義を見直すということではない。
塩崎大臣
不合理な運用上のバラつきを是正するのを目的として、出来る限りみなさんが同じ考え方になるようにしたい。待機児童の方の立場にたってわかりやすいものにしたい。
例えば保護者に対して、他に利用可能な保育園の情報を提供しないで、一律に「保護者が特定の保育園だけを希望した」とカウントする自治体がある。
保護者に対してきめ細かい対応とは言えない。そういう実態を踏まえて、今後の待機児童数の調査方法を検討して年度内に目処として取りまとめる予定。
待機児童数を減らすようなことを目的としたものではない。各市町村が保護者のニーズに応じた適切な保育の提供をするため。
山尾議員
検討会では、待機児童の定義を統一するというわけではないという話だった。なぜやらないのか納得がいかない。
今、政府が提案している介護保険法改正案の中に、育休が2年に延長できる案が含まれている。
そして、政府は「育休が取れたら待機児童のカウントから外せる」と市町村に通知している。こんな運用ではダメですよ。育休を延長してお茶を濁すというのは。
山尾議員
お母さんたちの声を知ってほしい。
「役所で、1歳では保育園に入れないから0歳からがんばってと言われた。まして育休を延長しても、2歳で保育園に入れるわけがない」
これが当事者の声の一部です。これが現実。育休2年が、待機児童の問題にどこまで向き合っているのか。「的外れなんじゃないの?」というのが現場の声。育休を延長できたら待機児童にならないという運用で本当にいいのか。
山尾議員
民進党は、保育士の給与を一律5万円アップしようと提言している。一方、政府はベテラン保育士だけに今年の4月から4万円アップすると言っている。
この一年、現場の方はがんばっておられた。しかし私達の案に比べると対象者も予算も3分の1。法律ではないから、来年・再来年も同じ予算がつく保証がない。
塩崎大臣
安倍政権では高い使命感をもった方に仕事を続けていただくということを重視し、再就職支援など総合的に取り組んでいる。
民進党の法案は財源確保が明らかになっておらず、人材確保の総合的な対策になっていない。
我々はキャリアアップの仕組みを作り経験や能力を評価した上で、4万円を基本に上げていく。キャリアの先を見えるようにするということ。
努力の仕方が見えることも大事なこと。一人ひとりの保育士がステップアップすることを期待したい。
山尾議員
政府の案では毎年、確保するという保証がない。予測可能性がある法律にするべき。根本解決にならない。
山尾議員
保育指針案で、保育園でも国旗国歌に親しむという内容が盛り込まれている。現在パブリックコメントが募集されているが、来年4月から本当に施行されるのか。
塩崎大臣
パブコメの内容を反映する。小学校教育への円滑な接続を測るという観点から、学習指導要領にもとづき、国旗国歌に親しむということが重要と考えている。